いよいよ今年もあと3日で終えようとしている。

起業して7年目になるが、医薬品業界の変遷はじつに目まぐるしかった。

企業合併は海外だけのことではなく日本国内にもその波は押し寄せてきた。

アステラス、第一三共、大日本住友、協和発酵キリンが代表的な合併劇であった。

そんな中、内資系の優良企業である武田薬品やエーザイは“独立系”とマスコミでは

言われ、敢えて、内資同士の合併というスタイルは選ばず、優良な海外企業に目を向け、

それを吸収し傘下に収めるという路線を“驚くべき巨額”を投じて進める戦略は、他社とは

明らかに距離をおくものであった。

武田は2008年5月、米VBのミレニアム・ファーマシューティカルズをじつに、約88億ドル

(約1兆円=当時レート)で買収し、その上、武田グループ全体のオンコロジー領域の開発

を同社に委ねたのは、従来のM&Aの思考では考えられえない斬新的な決断であった。

エーザイは2008年1月、米VBのMGIファーマを約4,075億円で買収した。これも、

オンコロジー分野の基盤強化のためだった。

この2社が共通するのは、“同族企業”だったということも敢えて背景として捉えねばなるまい。

もっとも、カリスマ経営者武田國男会長は今年で退任したが、その中央指導体制は特筆に

値した。ちょうど現在のエーザイ内藤社長と非常に似る。

そのような中での第一三共によるインドのランバクシー・ラボラトリーズの約4,833億円に

のぼる巨額を投じての買収も世界をあっと言わせた。

今後の製薬業界の動きは、まだまだM&Aが続くことが予想され、特に国内中堅クラスの

企業の行く末が非常に注目されるところだ。

何故ならば、来年試行される「薬価維持特例制度」によって、業界の再編が一挙に進むことは

誰もが疑うことがない“舞台”が既に用意されているからである。

今や、ニッチ領域すら大企業にとっては、それを選択せざるを得ない時代に突入している

以上、中堅企業の選択肢はどんどん減っていくことになる。

さて、中堅企業の社長諸氏の判断は?